V 国際・安全保障政策

1、国際化と連携強化をすすめる


1.問題意識

 ベルリンの壁が崩壊してから世界の資本主義経済圏は急速に拡大し、金融マーケットを中心にグローバル化が進んでいる。そして、米国の一極集中体制から多極化する中でさらなるグローバル化が急速に進んでいる。

 しかし、グローバル化が進む一方でそれぞれの国家は形を失うわけではなく、むしろ国家意識は高まっており、国家を超えて進む金融・経済の動きと国家の枠組みとの相克が生じている。

この調整は必ずしも順調に進んでおらず、WTOの多国間交渉の行き詰まりに見られるように、貿易における保護主義と開放主義・自由競争主義のバランスが問題となっている。


・ わが国においても、国際化とともに米国とアジアを中心にグローバル化のメリットを得てきたが、長引く経済の低迷の中で、韓国・中国等との競争が迫られてきている。とりわけ、世界の各国が、世界の成長センターとしてのアジアへの攻勢を強めてきているので、わが国として、どういう連携を実現するかが課題になってきている。

・ たしかに、経済のグローバル化は、歴史的な現象であって、否定したり抵抗したりできるものではない。しかし、世界がどんなにグローバル化しても、主権国家が残っていく限りは、宗教や民族、文化伝統による違いはお互いが尊重していくことが大切である。また、食料やエネルギーの安全保障の観点を失った国家は成り立たない。

2.政策の展開

多極化する国際化の中で、アジアの一員であることを踏まえた上で、国益を明確にしながら戦略的な連携をはかっていく必要がある。


・ TPPについては、「聖域なき関税撤廃を原則とする限り交渉参加に反対する」という方針に基づき、米国が基本姿勢を改めない限り交渉に参加しない。

・ 二国間FTA/EPAについては、日本は自らの国益を中心にして、戦略的に各国との交渉に積極的に取り組む。その際、国土の条件や気候風土に左右される農業については、WTO交渉でも合意している「世界各国の多様な農業の共存」を基本にして取り組む。

・ FTAAPについては、ASEANとの緩やかな連携をベースに、資本の自由化についても、政治体制においても、発展段階に大きな差があることを踏まえながら、お互いの多様性を認め合い、緩やかな経済連携を作りあげてゆく。

・ インフラ輸出については、世界の成長センターである東アジアの諸国においては、制度の整備や社会資本の整備などについて日本の力を発揮してゆく。


2、国の安全保障を確立する


1.問題意識

わが国の安全保障の体制は、占領下に制定された戦争放棄を謳う憲法の下、国内治安維持を任務とした警察予備隊が創設され、現在、自衛隊という名に変わったものの、憲法上、その存在や役割は明記されず、法的には未だに警察予備隊のままである。また片務的な日米安全保障条約により、わが国の防衛は、核の傘を含め米国へ大きく依存している。現下の多様な国際情勢の下、国民的な議論やあるべき理念が統一されないまま、実利として今日の現状を選択している現下の体制のあり方が問われている。



・ 今こそ、日本という国家としての自立をはかるべく、国民的議論を踏まえた安全保障体制の構築がなされなければならない。

  同時に、安全保障とは、軍事的なものだけでなく、わが国の経済力・外交力・文化力など、総合的な国力を作りあげてゆかなければならない。


2.政策の展開

 現在の自衛隊のあり方として、自主憲法制定による国軍化を推進するとともに、国軍としての名誉や地位の明確化をはからねばならない。あわせて国軍を円滑かつ効果的に運用するための法制度、運用組織のあり方などを整理し、わが国の防衛基盤の拡充に努めなければならない。


・ 自主憲法制定による自衛隊の国軍化、そして、オールジャパンによる危機管理体制の確立、現在、縦割りとなっている情報組織の統合による機能強化をはかる。

・ 専守防衛思想からの脱却、国防の基本方針(昭和32年)の見直しを行う。

・ 国軍としての地位や名誉を明確化するため、学校における国防や軍事に関する教育を充実させるとともに、栄典制度の見直しをはかる。

・ 片務的な日米安全保障条約を改正し、集団的自衛権の行使により双務的な同盟へ移行させ、あわせて在日米軍基地のあり方の見直しを行う。

・ 防衛省における文官統制という歪んだシビリアンコントロールを是正し、制服組(U)・背広組(C)のそれぞれの知見や能力を活かすべく、UC混合の組織への改編を行い、運用については、統合幕僚監部への一元化を行う。

・ 防衛生産・技術基盤の維持・発展のため、武器輸出三原則の見直しを行うとともに、技術立国としての独立性を確保するため、装備品の国産化の方針を明確化し、防衛産業とくに中小企業に対する税制優遇、補助金制度をはかる。


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