N 憲法・政治制度

1、憲法の意義と役割を考える


1.問題意識

 現行憲法は、アメリカの占領下で主権が制限されている状態で、明治憲法の改正という手続きを経て、制定された。従ってこれは正しい意味での憲法でない。戦後のわが国の歴史は憲法でないものを憲法として取り扱ってきたとも言える。

 その意味では、現行憲法について、独立後、直ちに無効を宣言し、明治憲法の改正作業に入るべきであったものをしなかったという問題がある。

2.政策の展開

 本来憲法は、国体・国柄を表わすものであり、長い歴史のある英国では、成文法を持たない。慣習がその役割を果たしている。わが国には、十七条憲法等、歴史と慣習の積み上げがあり、それで十分という議論もあるが、近年、論議が沸騰している男系皇統の堅持等、早急に方向を定めることが求められており、これらも含めてわが国と国民の規範となる成文憲法の早期の制定が必要である。




2、政治制度への提言


1.問題意識

 大衆迎合主義が政治を席巻し、政治は機能不全に陥っている。政治の使命は国民の生命財産名誉を守ることである。そのため、ポピュリズムから脱却し、政治の王道に戻る必要がある。

  そのため、民主主義の不完全さと弱点とは何かを検証し、国民と政治をつなぐ日本の政治家が果たすべき役割を明確にし、国民的に意識の改革をはかる必要がある。


・ 政治制度と密接に関連する議会制度については、定数削減、一票の格差解消、議員歳費の削減、政党助成金のあり方、さらには一院制等の議論が出されているが、日本の政治制度の根本にかかわる問題であり、十分な議論を尽くすべきと考える。


2.政策の展開

 ポピュリズムからの脱却のための選挙制度の改革、中選挙区制への復帰、定数是正、国民理解の醸成、二院制の堅持と発展等について、検討し、成案を得てゆく必要がある。


・ 国民全体による判断が困難であるという現実に対応するためにできたのが代議制である。ところが、最近の情報氾濫の中で、民意が増幅された結果、国民はその時の気分で投票するようなことになってしまった。このために、少しでもこれらの欠点を修正することができるように、選挙制度の改革がなされなければならない。

・ 政権交代可能な仕組みとして、小選挙区制度が採用されたが、結果は民意の暴走を加速させたにすぎない。中選挙区制への復帰が求められている。また、少数意見の尊重はポピュリズムに対するけん制の意味でも重要である。そのため、比例代表制の並立も検討する必要がある。

・ 日本はアメリカを除き世界で人口当たりの議員の数が世界最少国である。民意の反映の意味からもこれ以上の減員は問題がある。また、国会の審議だけでなく政党内での審議が実質の意思決定には不可欠である。そのためには、一定数の議員の数が必要である。

・ 現行の議会制民主主義よりすぐれた制度は見当たらない。選挙による議会制民主主義が国民にとって最も幸福な制度であることを積極的な広報活動や学校教育などを通じて国民の理解を得てゆく必要がある。

・ 民意の暴走を抑制するために二院制は堅持すべきである。二院制の特長を発展させるため、参院の選挙制度を衆院と違うものにすべき。参院は地域の代表の立場を重視し、選挙区における一票の格差の議論は再考するべきである。比例代表は職域の意思反映の観点から必要であるが、そのあり方を見直す必要がある。


3、地方自治体と国の役割への提言


1.問題意識

 世界的に経済と企業のグローバル化が進んでおり、その中での国家が持つ意義や役割を明確にしていくことが求められる。同時に、国家を形成し、国民が居住し活動する地方の役割を考え、国と地方との正しい関係やあり方をきちんと位置付けることが求められている。



・ わが国においては、現に進んでいる東京一局集中を見直し、多極分散型の経済や国土を作りだすことによって、国全体の力を強固なものとしていく考え方が必要である。


2.政策の展開


 地方自治体と国の役割を考える場合、道州制についても議論を進めるが、一方で、国家が果たす外交・防衛をはじめとする必要な国家機能のあり方について、実効性のある議論を進める必要がある。


・ 道州制は、都道府県が合併して地方分権の受け皿を作るように考えられている向きもあるが、決してそのようなものではなく、道州制は、国の機能の一部を分割して、それを担う、より広域な地方自治体を創設しようということである。

その際重要なことは、国のかたちを十分に議論することであり、国・道州・基礎自治体の事務分担論だけでなく、地方に対する国の関与のあり方についての議論が必要である。

・ 国のかたちを変えるには大きなハードルがいくつもある。例えば、国家の機能が外交防衛など真に国全体の調整を必要とするものに局限されると大幅な行政改革が断行されて、多くの国家公務員は道州へ移り、都道府県は廃止され、都道府県職員は、道州と基礎自治体に分離されることになる。また、市町村は、再度大合併をしなければならず、住民の抵抗感も大きくなることが予想される。

・ また、通貨発行権は国にしかない。しかし、需要は地方にある。道州制が大きなデフレを生むことになる可能性がある。

・ 中国の台頭により経済の国家間競争が高まる中、国力を強めることが必要であり、道州制がその力になるのか、しっかり論議する必要がある。


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