・ 国民全体による判断が困難であるという現実に対応するためにできたのが代議制である。ところが、最近の情報氾濫の中で、民意が増幅された結果、国民はその時の気分で投票するようなことになってしまった。このために、少しでもこれらの欠点を修正することができるように、選挙制度の改革がなされなければならない。
・ 政権交代可能な仕組みとして、小選挙区制度が採用されたが、結果は民意の暴走を加速させたにすぎない。中選挙区制への復帰が求められている。また、少数意見の尊重はポピュリズムに対するけん制の意味でも重要である。そのため、比例代表制の並立も検討する必要がある。
・ 日本はアメリカを除き世界で人口当たりの議員の数が世界最少国である。民意の反映の意味からもこれ以上の減員は問題がある。また、国会の審議だけでなく政党内での審議が実質の意思決定には不可欠である。そのためには、一定数の議員の数が必要である。
・ 現行の議会制民主主義よりすぐれた制度は見当たらない。選挙による議会制民主主義が国民にとって最も幸福な制度であることを積極的な広報活動や学校教育などを通じて国民の理解を得てゆく必要がある。
・ 民意の暴走を抑制するために二院制は堅持すべきである。二院制の特長を発展させるため、参院の選挙制度を衆院と違うものにすべき。参院は地域の代表の立場を重視し、選挙区における一票の格差の議論は再考するべきである。比例代表は職域の意思反映の観点から必要であるが、そのあり方を見直す必要がある。
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